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強みは「エンドユーザーとの距離感」ニッチな食品領域からビジネスチャンスを作り出す

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強みは「エンドユーザーとの距離感」ニッチな食品領域からビジネスチャンスを作り出す
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    2025年1月に、CBC株式会社は創業100周年を迎えました。その中でも、最も長い歴史をもつのがケミカルズ&マテリアルズ ディビジョン(以下、CMディビジョン)。これまでもさまざまな化学製品の企画・開発・販売を手掛けてきたCMディビジョンですが、食品関連の事業でも、今後を見据えた取り組み が行われていることをご存知でしょうか。

    今回は、CMディビジョンで食品関連業務を担う事業部の紹介と、今後同グループで成長が期待される 「エンドウ豆たん白」 をテーマに、その取り組みや市場の可能性について紹介します。

    食品メーカーへ、食品・添加物・包装資材を提供する

    CMディビジョンの中でも、東京に拠点を置く第4グループが主に専門とするのは 「Foods & Package 」。食品や添加物、包装材料 などを仕入れ、主に国内の食品加工メーカーへの販売を行っています。

    取り扱う製品は、大きく分けて「食品」「食品添加物」「食品包装資材」の3カテゴリー。

    「食品」分野では、冷凍フルーツやトマトペースト、茶葉など、食品・飲料業界で広く使用される原料を取り扱っています。 機能性食品素材など、健康意識の高まりに対応したラインナップのほか、オリゴ糖や食物繊維といった原料も。海外産の原料だけでなく、国内産の糖類や果汁、茶葉など、幅広い選択肢から製品を提供しています。

    「食品添加物」では、食品の酸化を防ぐ、食品に栄養を加えるといった、食品の保存や加工に用いられるさまざまな素材を販売しています。添加物は、食品の品質を安定させながら美味しさを引き出すために必要なもので、食品の劣化防止を防ぐクエン酸 や、アイスクリームのなめらかな口当たりを作る (カラギーナン)のにも、添加物が用いられています。

    「食品包装資材」として取り扱っているのは、食品や飲料を適切に保護し、安全に流通させるための容器やフィルムです。乳酸菌飲料 用の樹脂製容器や紙パック、プラスチック容器用のフィルムなど、用途に応じた資材を取り扱うとともに、環境負荷の低減にも力を入れています。

    そんな「Foods & Package」を専門として取り扱う第4グループですが、元々は「食品グループ」「包装資材グループ」、そして添加物を取り扱う「化学品グループ」、それぞれが別の部署として活動をしていました。

    しかしながらそれらグループの営業活動の対象となる食品メーカーでは、商品の中身である「食品」と、それを包む「包装資材」は、同じ部署がまとめて担当している場合も少なくありません 。そんな「同じ企業・部署への営業活動を、CBC社内で別のグループが行っている」状態を改善するために、約8年前に3部門の統合が行われました。
    グループの機能統合以降は、食品から包装資材までを一体的に捉えた提案が可能となり、顧客ニーズに応じた柔軟な対応ができるようになったといいます。

    持続可能なタンパク源として注目されるエンドウ豆たん白

    えんどう豆 そんな第4グループが、今後の成長が期待される食品素材として展開を進めているのが「エンドウ豆たん白 」です。
    エンドウ豆たん白とは、エンドウ豆を加工して製造される粉末状の食品素材のこと。「エンドウ豆」といえば緑色をイメージする方が多いかもしれませんが、その粉末は、熟したエンドウ豆と同じ「黄色から白っぽい」色をしています。植物由来のタンパク質を摂取する手段として、さまざまな用途での活用が期待されています。

    現在は、エンドウ豆由来の「ピープロテイン」として、 タンパク質を摂るためのプロテインに使用されるのが一般的。欧米では他にも、高タンパククッキーや、代替肉の原料としても活用されているようです。
    近年、牛乳や卵、鶏肉といった「動物性タンパク質」に対して、エンドウ豆や大豆から得られる「植物性タンパク質」が注目を集めています。動物性タンパク質に対するその特徴は、環境負荷を抑えて生産できる「持続可能なタンパク源」であること。

    植物性タンパク質は、家畜と比べて生産に必要な水や飼料といったエネルギーが少なく済むだけでなく、面積あたりでよりたくさんのタンパク質を収穫できます。こういったメリットから、環境意識の高い欧米 を中心に、植物性タンパク質の価値が注目されているのです。
    しかしながら、日本における「代替肉や植物由来のタンパク質の素材」としてお馴染みなのは、エンドウ豆よりも大豆ではないでしょうか。
    えんどう豆タンパク3 同じ植物由来のタンパク質としてよく似た性質を持つ両者ですが、それぞれを比較すると、世界的に生産量が多い大豆は、エンドウ豆よりも製品のコストを抑えやすい強みがあります。

    さらに、豆乳にみられる独特のにおいや臭みがなく、アレルゲンフリーであることも大きな特徴。第4グループの担当者は、「確かに国内では大豆のほうがメジャー。しかし世界的に見ると、エンドウ豆のほうが広く使われている」と語ります。

    「まずは使ってもらう」新しい市場の開拓戦略

    CBCは、ベルギーのコスクラ社(Cosucra-Groupe Warcoing S.A.)の日本市場における販売総代理店として、約20年前から同社のエンドウ豆たん白「Pisane(ピサン )」を取り扱い、国内市場の拡大に向けた営業・広報活動を進めています。

    エンドウ豆は主にカナダやフランスで生産されており、欧米の消費者にとってエンドウ豆は大豆以上に身近な存在です。しかしながら日本では、日常的な食習慣の違いから、エンドウ豆たん白の市場はまだ小規模に留まっています。
    エンドウ豆たん白をより広く販売していくためには、国内の市場を開拓、需要を生み出すことが必要。そこで求められるのが、Pisaneを活用した新たな商品の創出です。

    CBCでは既存のお客様への販売活動と並行し、さまざまなメーカーや研究機関との関係を深めてきました。エンドウ豆たん白の営業活動では、展示会への出展や、製品に関心を持つ研究機関や新商品開発に取り組むメーカーにPisaneのサンプルを提供。新たなヒット製品の誕生や需要の創出に繋げるため、「まずは小ロットからでも使ってもらうこと」を意識した取り組みを進めています。

    しかしながら、すでに大きな需要があって「市場開拓の必要がない」大豆に対して、エンドウ豆の営業活動では「ゼロから市場を作る」取り組みが必要になります。そんな困難かつ、長い期間をかけて行わなければいけない営業活動に挑む理由について、第4グループの担当者は「そのほうが、CBCとしての強みを活かせるから」と語ります。

    えんどう豆タンパク2 大豆のような大きな需要がある市場は、安定した供給と販売ルートが確立されている反面、成熟しているがゆえに、市場が固定化されがちです。加えて、大豆のような「汎用品」と呼ばれる製品の販売活動では、大手メーカーや商社が競合企業となるため、その価格競争を避けることはできないでしょう。これはCBCの優位性を発揮しにくい環境です。

    一方のエンドウ豆たん白の市場は、まだ大規模ではないものの、今後の成長が見込まれるものです。CBCは販売総代理店として、国内にPisaneを安定供給しつつ、メーカーや研究機関とのつながりを生かして「小回りの利いた」営業活動を展開できる体制を整えています。
    現在のエンドウ豆たん白市場において、CBCは国内シェア1位となっています。その市場を成長させながら、ゆくゆくは拡大した市場の中でより大きなリターンを得るのが現在の目標なのだとか。「マーケットがほぼ存在しなかった製品を広めていくのは、非常にチャレンジングな営業活動でした」と担当者はこれまでを振り返ります。

    実際に、エンドウ豆たん白の販売量はここ数年で大きく伸びています。中でもコロナ禍以降の健康意識の高まりによる、プロテイン需要の増加が追い風となりました。地道な営業活動の成果もあり、業界内での認知も向上。

    Pisaneの取り扱い量は以前の1.5倍に拡大し、サンプル提供の機会も増えているのだとか。 今後も第4グループでは積極的にエンドウ豆たん白の販売・広報活動を推進していく予定です。

    エンドユーザーとの距離を生かして新たなビジネスをつくる

    食品、添加物、包装資材と幅広い製品を取り扱う第4グループの強みについて、担当者は「製品の特性上、エンドユーザーとの距離が近いこと」だと語ります。

    CMディビジョンの他グループ で扱う製品は、最終的な商品になるまでに何重もの加工が行われる「素材」が中心です。一方で第4グループが手掛ける製品は、食品メーカーと直接取引を行うものがほとんど。物流の川上だけでなく、消費者(エンドユーザー)や消費者と直接的なつながりを持つ大手食品メーカー との距離が近いことは、CMディビジョンの他のグループ にはない特徴です。
    この距離の近さがもたらす大きなメリットの1つが、「顧客のリアルな声を直接聞けること」なのだとか。消費者と向き合う食品メーカーならではの課題や業界の動向に触れることで、新たな取り組みを生み出すきっかけになることもあります。

    例えば近年では、第4グループの取り組みとして、バイオプラスチック原料や再利用可能な複合プラスチック素材の販売を開始しました。
    これは環境問題への対応が求められる国内の食品・飲料メーカーのニーズと、CBCが海外展開の中で得た技術情報を組み合わせたもの。他にもリサイクルプラスチック企業への投資を行うなど、環境問題への取り組みを一層強化しています。

    今後も世界各地で商材を買い付ける中で得た海外のトレンドを顧客に共有することで、単なる製品提供にとどまらず、付加価値のある提案活動を展開していくのが第4グループの今後の目標です。エンドユーザーとの距離の近さという強みを最大限に生かし、従来のビジネスモデルを超えた市場の創出や、時代に即した新たなチャレンジに挑んでいきます。

    文=スギモトアイ/取材・編集=伊藤 駿(ノオト)

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